フランス・オクシタニ地方ライドその3
前回、前々回のライドでは15世紀に造られた風車を眺めたが、今回のライドでは同じ風車でもスーパーにモダンな風力発電機(フランス語でエオリエンヌ:éolienne)を眺めてみたいと思い、そのようなコースを設定してみた。ブレロは、立ち並ぶ風力発電機になぜか詩的な美しさを感じてしまうのだ。以前、鹿島臨海工業地帯をライドしたときも、わざわざ須田浜の風力発電機を観に行ったのはそれが理由である。
ライドする主な場所は、ブレロたちが住むミュレと前回ライドしたカステルノダリの中間にあるような丘陵地帯である。出発点とゴールはサントガベル(Cintegabelle)という村というか町で、この町は前々回ライドしたときのゴールであるオートリーヴの隣に位置している。
季節柄、黄色い花が丘陵のあちらこちらを埋め尽くすように咲いていた。名前はわからないが、たぶん畑の肥料になるキガラシの花だろう。ライド実行日はよく晴れ、かつ空気が澄んでいて、ピレネー山脈の雪を被った峰々が丘陵のはるか向こう側で輝いているのがよく見えた。素晴らしい景色だ!
広大な畑の中にぽつんと立つ農家の家屋とは別にサイロのような塔がみえたが、あれはいったい何だろう? あるいは本当にサイロなのだろうか。サイロというと、家畜の飼料とする牧草を保存する施設というイメージがあるが、ここには牧場はない。農作物を保存する塔状の施設もサイロというらしいから、やっぱりサイロでいいのだろうか。知らないことばかりだ。
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丘陵上にポツン
と建つ家。素晴らしい景色に囲まれた家だが住むのは不便かなあ。慣れれば問題ないか。
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キガラシに
覆われた丘陵。溜息の出るような絶景だ。
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遠くで横一列
で並ぶ風力発電機たち。冠雪したピレネー山脈の峰々を背景にして。こんな景色に出会いたかった。
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風力発電機に
近づいてみよう。キガラシの花畑の匂いに誘われて。
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キガラシの
花畑の中に聳え立つ風力発電機たち。
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冠雪したピレネー
山脈の峰々を遠くに望んで。その神々しい輝きに胸を打たれて立止まるブレロ。
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サントガベル
の丘に立つ教会へと続く参道。立寄る時間がなかったが、参道を見ているだけでなんか感動。
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いつかまた
ここに来て同じ景色を眺めてみたい。
お目当の風力発電機はキガラシの花畑の中で一列に並んでいた。あまりに大きくて、かなり距離をとらないとその全体を視界に収めることができない。風力発電機の足元まで行って見上げてみると、羽根が不気味な音をたてて回っている。まるでモーターで回っているかのような音だが、風力で回っているはずだからそんなことはあるまい。動いているときにこれほど近寄ると、詩的な感じはまるでしない笑。遠くから眺めるに限る。
丘陵をライドし終えたらカルモン(Calmont)という小さなコミューンに出る。ここにこざっぱりとした教会があったので、入ってみる。この教会は普通のカトリックの教会であるが、このような小さな集落でもちゃんと維持されていることに感動する。なお、あとで調べてみたら、こことは別にプロテスタントの教会も近くにあるらしい。カトリックの国フランスのこんな小さなコミューンの中に、プロテスタントの教会があるのは珍しいことのように思われる。ユグノー戦争(カトリックとプロテスタントの宗教戦争)以来、フランスのプロテスタントたちのほとんどは国外に逃れてしまったからである。もっとも、国内でプロテスタントが絶滅したわけではなかったことは、ルイ16世がプロテスタント諸派に改めて信仰の自由を認めたことからもわかる。そうすると、こんな田舎にも細々とプロテスタントが存在し続けていたのかもしれない。
↑今回のライドのショートムービー