フランス・オクシタニ地方ライドその1.2
11月も終わろうとするこの頃には、ブレロが住んでいるミュレという小さなコミューンでも、街がクリスマス仕様に様変わりし始める。ブレロ3号(3歳の息子)は、あちこちの店舗に置かれはじめたクリスマス・ツリーがお気に入りで、通りでみつけるたびにデコレーションを触らずにはいられない。
ブレロは、中学生くらいのときに、北欧の小さなコミューンに住んで、街の人々とともに街の小さなお祭りを体験するという幻想というか妄想を心に思い描いたことがあった。その後の人生では北欧にはほとんど縁がなかったが、今年はどうやら南フランスの小さなコミューンで冬を越すことになりそうである。
今日(土曜)の午後4時にブレロ3号がお昼寝してくれたので、この前行った近所の丘陵まで2時間ほどサイクリングすることにした。
丘陵の上にある個人宅は広くて立派な家(古びてはいるが…)が多くて、「ここでスローライフできるのはうらやましいな~」などと思ってしまう。実際には何かと不便なのかもしれないが。
ネックスピーカーで聞く今日のBGMは、William Ackermanの「Imaginary Road」。いまはなき「ウィンダムヒル(Windham Hill)」レーベルの創設者Ackermanが1988年にリリースしたアルバムだ。彼は今でも、ウィンダムヒルという場所(正確にはヴァーモント州ダマーストン)にこのアルバムにちなんだ名前のスタジオをもって、プロデューサーの仕事をしている。スタジオのホームページには、スタジオの周囲の環境を写した断片的な写真が掲載されている。今自分が登っている丘陵とそれほど大きく変わらない雰囲気の場所なのでは、と勝手に想像してしまう。
折り返し地点で、ミディ・ピレネー地域の平野を見下ろしながら沈む夕日を眺めた。そこには、まるでワイエスがテンペラで描いたような灰色の漆喰壁でできた古い平屋があり、縦長の小さな窓が夕日を白く反射していた。背後にはこげ茶色のただ冬を待つ泥土の畑が広がっていた。何の変哲もない平屋にみえる人もいるだろうが、ブレロはこの場所に立つこの平屋の風情に、強く心を揺さぶられてしまった。写真をとりたかったが、中に人がいるのが感じられた。
-
泥土だけの畑
が丘陵の頂上一面に広がる。もう冬なんだなあ。
-
牧場の羊たち
ほかの羊たちは営舎の中にいるのだろうか。頭数が少ない。不思議な光景だ。
-
うねる丘陵を
見下ろして。ここからあちらの丘まで行く道はある。ダートだが。MTBなら楽しいかもしれない。
-
遠くにみえる丘陵は
あれはやっぱりヴネルク(Venerque)丘陵かなあ。暇ができたら登ってみたい。できなさそうだけど。
-
ちょっと視線をずらすと
お馬さんがいた。飼主さんも近くにいた。馬術を仕込んでいるようだった。
-
夕焼けに染まる
空と飛行機雲と鳥と。
この平屋は生活のための家ではないように思われたが、その人はほとんど毎日、ここから沈む夕日をみているのだろうか…。
夕焼けに染まる空を、いくつもの飛行機雲が交差している。南仏の冬はパリと比べると晴れの日が多い。空気が冷たくなってきた。