ツール・ド・フランス2025
フランスの夏のバカンスは2~4週間に及ぶという。ツール・ド・フランスがフランス人の間で人気があるのは、やっぱりバカンスと関係があるのかもしれない。忙しいブレロには、ツールをがっつり見るような時間などない。なので、これまで一度もツールをハイライトなしで観戦したことがなかった。
サイクル・ロードレースはチームスポーツであり、メカを使用し、落車のハプニングもあるので、マラソンなどよりもずっと面白い要素があると個人的には思う。にもかかわらず、日本でサイクル・ロードレースが(少なくとも地上波で)テレビ放送されることがなく、マラソンがテレビ放送されることがあるのは、多くの日本人が観戦できる時間の長さにもよるのではないか。多くの日本人にとってテレビ観戦ができるのは、一日2時間から3時間が限度であろうと思う。また毎日はテレビ観戦できない人が多いだろう。一方、ツールは1ステージですら長い場合には終わるのに5時間もかかり、それが21ステージもあるのだから尋常ではない。
そんなわけでブレロにとってツールは、夏の風物詩ではあっても、サッカーのW杯ほど身近に感じたことはなかった。しかし今ブレロが住んでいるのはフランスだ。そしてなんと今年は、ブレロの勤務地であるトゥールーズと住居があるミュレの両方で、ツールが行われるという。ツールの日程が近づくにしたがって、街が受け入れの準備を進めているのがはっきりとわかった。そうであれば、これまであまり関心をもってこなかったブレロもツールを身近に感じずにはいられない。
トゥールーズが舞台となる第11ステージの一部を走った前回のライドは、そのようなブレロなりの気持ちの高揚を表現したものである。そしてそんなことをしているうちに、第11ステージの日がついにやってきた。その日も仕事人間であるブレロは職場で仕事をしていたが、隣の通りがツールのコースになっているので、手に手に国旗をもって応援する人々の姿をこの目で見た。妻氏も、息子のブレロ3号とともにトゥールーズまで出向き、スタートとゴールの両方を現地で観戦した。そんな彼女はすっかりツールの魅力にハマり、第11ステージのスタートとゴールだけでなく、通して観戦したいという。そんな妻氏の要望に応えるために、ブレロは急遽J-Sportsのサイクル・パックを契約するハメになった。
ミュレをスタート地点とする第15ステージが行われたのは日曜だったので、この日ばかりはブレロも仕事を休んだ。午前中に自宅前の通りに出ると、スポンサー企業が関連グッズを大盤振る舞いしていた。広報車に乗ったスタッフが、集まった沿道の観客に向かってグッズを投げ入れていたのである。妻氏は一生懸命グッズを拾おうとしたが、どこから湧いたのかと思うほどに観客が多すぎて、どうにもうまくいかなかった。唯一、スポンサー企業から恩恵を受けることができたのは、タダでエスプレッソを飲めたことくらいか(エスプレッソ・マシンの前に2人女性スタッフがいて、観客にサービスしていた)。Senseoという企業で、ふだんあまり飲んでいるメーカーではないのだが。
お昼を食べるために、いったん部屋に戻る。妻氏が調理コンロのスイッチを入れたとたん、なぜだかわからないが、部屋の電気ブレーカーが落ちてしまった。今まで一度も落ちたことがなかったのに不思議だ。ツールの影響?で、共用建物の電気需要が増大したからだろうか。いずれにしても落ちたブレーカーが上がらない。どうやってブレーカーを上げたらいいのか家主に問い合わせているうちに、チーム紹介の時間が来てしまった。ようやく直ったものの、昼食を食べずにもう一度外に出るハメに。それでもいくつかのチーム紹介は終わっていて、とくにマイヨ・ジョーヌを着ているポガチャル(Tadej Pogačar)が所属するUAEの紹介が終わってしまっていたのは残念だった。それでもヴィスマ(Team Visma)の紹介が見れて、ヴィンゲゴー(Jonas Vingegaard)のインタビューを生で聞けたのはよかった。
第15ステージスタート前には沢山のスポンサーが特別アイテムを大盤振る舞い…だが拾えず。総合5位に入っているフランス人ヴォークランのインタビューが聞けた。#ツール・ド・フランス2025 #ミュレ pic.twitter.com/uh3tjAfoQ7
— ブレロ (@bromptontabi) July 20, 2025
ブレロたちはスタートを見るためにニール公園まで歩いた。選手たちをよく見ることができそうなコーナーを見つけて、そこでレース開始を待っていたが、いきなり関係車両が目の前に停車して視界がふさがれてしまった。仕方なく場所を移動したが、他の観客の後ろに並ぶ形になってしまった。それでもちゃんとスタートをこの目で見ることができたのだから、よしとしよう。意外に選手たちの列は短かった。彼らが向かうのはカルカソンヌだ。その後に妻氏が部屋に戻ってライブ中継を楽しんだのは、いうまでもない。
自分が住んでいる町で間近にツールドフランスのスタートを見るなんて。感動した。#ツール・ド・フランス2025 #ミュレ pic.twitter.com/hRUcFRnhPm
— ブレロ (@bromptontabi) July 20, 2025