セット

6月に(アグドから)セットへとライドしたときに、ブレロはその美しい地中海の浜辺や運河沿いの街並みにすっかり魅了された。なので、バカンス期間に入ったら(1人でではなく)家族でここを訪れてみようと考えていた。

 

セットではホテルではなく安い民泊を利用し、2泊したが、その宿に子供のための海遊びの道具が備わっていたのがラッキーだった。セットに到着した日もその翌日も3歳児のブレロ3号を砂浜へ連れて行き、彼は喜んでそこで海遊びをしていた。ただ単に海水を如雨露に入れて浜辺の砂にかけるだけの遊びを、彼は繰り返し繰り返し喜んでしていた。妻氏はそれをそばで見守り、ブレロはとくにやることがないので、タオルを敷いてその上に寝転がり、上半身を日光から保護するために傘を被っていた。しかし、これはけっこう苦行だった。砂浜には強い風が吹いていたので、寝転がっていると飛んできた砂に身体が埋もれてしまうのである。傘でガードしても、その脇から吹き込んだ砂がブレロの目と言わず耳と言わず入ってきた。目は閉じていれば何とかなったが、口は閉じていても入ってくるようで、じゃりじゃりする砂の食感を何度も味わった。砂は地上の近いところを飛ぶので、寝転がるのではなく、身体を起こして座っていれば、もっとましだったかもしれない。しかしブレロは、椅子なしでずっと座っていると腰が痛くなってくるのである(ここがフランスじゃなくて日本だったら、自宅から折り畳みの椅子をもってきただろうが…)。

 

ブレロは、初めてサイクリングのためにセットを訪れたとき、家族とともにこの運河沿いのレストランを訪れ、暮れなずむ運河をオープンテラスで眺めながら、冷えた白ワインを飲んで魚料理を食べるという野望をすぐに抱いたが、実際にその野望を滞在2日目の夜に実現することができた。レストランでは、サーモンのタルタルとまぐろのステーキを注文した。漁港の街のレストランらしく、とても美味しかった。店員のサービスもよく、値段もとてもリーズナブルである。しかしグーグル上では、このレストラン(「青魚と一緒に(Au Poisson Bleu)」の評価は高くない。それは主に過去の評価であって現在の評価ではないのだろう。穴場といえるレストランかもしれない。