新緑の都幾川ライド

「武蔵野の俤(おもかげ)は今纔(わずか)に入間郡に残れり」

 

ブレロの茫漠とした記憶の中では、上記は国木田独歩の言となっていた。国木田はそう遠い昔の人ではないから(1908年逝去)、今でも埼玉県入間郡のどこかに昔の武蔵野が残っているかも、とブレロが勘違いしていた時期が(比較的最近まで)あった。

 

改めて調べてみると独歩がそう言ったわけではなく、文政年間の地図にそう書いてある、と独歩が記していただけだった。

 

19世紀前半の地図にそう書かれていたということは、21世紀の今日、武蔵野の面影(萱の原っぱだったといわれる。)なんて入間郡のどこにも見当たらないだろう。

 

しかし武蔵野(埼玉県)に生まれたブレロにとって、入間川は相変わらず気になって仕方がない川だった。ブレロはこれまでチャンスに恵まれず、入間郡をブラブラしたことはなかったのだ。

 

そこで今回は、東武東上線で小川町まで輪行し、都幾川の流れに沿って越辺川に合流し、さらに入間川に合流して荒川に抜けるというルートを立案してみた。平日だが、お休みをとって実現させたライドである。

 

 

よく知られているように、都幾川はとても美しい川である。周辺はのどかな里山で、この地を愛するローディも少なくない。道々におしゃれなカフェなどを見つけることができるのも、ローディの需要がけっこうあるからだろう。

 

途中、レトロな建物として有名な旧小川町立小川小学校下里分校に立ち寄ってみた。明治7年に開校した校舎だが、児童数の減少に伴って平成23年3月に廃校となったらしい。現在では「霜里学校」というNPO法人が管理していて、何かのイベントに使われたりしているそうだ。

 

この校舎のそばに、お庭がとても素敵な雰囲気の「やまぐち」さんのお宅があった。何か、お店でもやってらっしゃるのだろうか。

 

やがて嵐山渓谷にさしかかったが、Ride with GPSによる事前のルーティングでは、ここを走る予定だった。しかし道は完全にグラベルで、注意書きをみると自転車に乗って走ることも禁じられていた。というわけで、予定を変えて迂回をすることにする。

 

蝶の里公園付近を一気に二瀬橋まで下り、都幾川桜堤に出る。右手の畑に牧草ロールが転がっているのがみえた。牧草ロールなんて埼玉県で見ることができると思っていなかった。ちょっと感動した。

 

 

都幾川リバーサイドパークあたりまでは本当に快適な道だったが、ここから街中を走ることになり、ちょっと辛い道になる。とくに県道212号は交通量が多く、疲労が増した。このあたりのルートは要改善である。越辺川の北から回り込むのではなく、南を走って入間川に合流するのがよいかもしれない。

 

越辺川の川岸を走っていたら「金笛しょうゆパーク」なる不思議な建物がみえた。後で調べてみたら、笛木醤油という会社の建物で、同社は寛政元年創業の老舗醤油蔵なんだとか。そんな由緒ある醤油蔵が、埼玉県のこの地域にあるなんて知らなかった。。(恥ずかしい)。レストランも併設されているそうなので、いつかたずねてみたいなあ(「木桶バウム」なる特製バウムクーヘンもおいしそうである。知っていたらテイクアウトしたのになあ)。

 

 

落合橋を渡って念願の入間川CRに入ったが、関越道からみた入間川の印象そのままのCRだった。とてもいいCRだと思ったが、「これぞ武蔵野!」と思わせるような特別感はとくにない。

 

開平橋を渡って荒川に出る。ここまでくれば今日のライドはほぼ終わり。ゴールの指扇駅に着いたのは午後5時30分くらいだった。このコースは一部を修正して再度走ってみたいと思う。木桶バウムもとても気になるしね。

 

本ライドのルート記録

 

↑今回のライドのショートムービー